基底板振動の数値解析

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 機械振動として内耳蝸牛に伝えられた音は、内部に満たされているリンパ液を介し、基底板と呼ばれる膜に伝播します。基底板上にはコルチ器という感覚細胞群が存在し、ここで機械振動は電気信号に変換されます。このように蝸牛は機械-電気変換を行う聴覚器官です。
 近年蝸牛は単なる変換器ではなく、増幅器としての働きもあることが明らかとなってきました。モルモット蝸牛内基底板の挙動を直接計測した結果では、生きている場合と死んでいる場合に、基底板の振動振幅に差が見られます。従って、生きているときには基底板振動が増幅されていることが実験によって確かめられているのです。この増幅作用はコルチ器内に存在する外有毛細胞(OHC)の伸縮運動によるものであるといわれています。
 蝸牛機能を解明するために、以上のような計測が行われていますが、蝸牛の構造上、計測可能な部分が限られてしまいます。また、蝸牛に損傷を与えずに計測を行うことは非常に困難です。そこで、図1に示すようなモルモット蝸牛の3次元モデルを構築し、有限要素法(FEM)を用いて基底板の挙動解析を行っています。
 図2は2つの異なる入力音周波数における基底板の振動応答を示します。刺激音周波数が高いと、変位振幅が最大となる位置が基部方向へ移動することから、蝸牛には周波数弁別機能があることがわかります。
 図3はOHCが基底板に及ぼす力を発生させた場合と、させない場合を比較した解析結果です。図3より、OHCが発生する力によって基底板振動が増幅されていることがわかります。



図1 三次元蝸牛モデル








図2 基底板の振動応答
Base: 蝸牛基部、Apex: 蝸牛頂部。
刺激音周波数は、上図, 2kHz; 下図, 6kHz。
ここでは振動振幅を強調しています。






図3 OHCが基底板振動にに及ぼす影響
Active: OHCの働きがある場合、Passive: ない場合。
Base: 蝸牛基部、Apex: 蝸牛頂部。
OHCの働きがある場合の方が、ない場合より振幅が大きいことがわかります。



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