|
蝸牛は螺旋状の器官であり,内耳蝸牛に伝えられた振動は,内部に満たされているリンパ液を介し,基底板と呼ばれる膜に伝播します.基底板上には,外有毛細胞(Outer
Hair Cell : OHC),内有毛細胞(Inner Hair Cell : IHC)などの感覚細胞群で構成されるコルチ器が存在します.ここでは,中耳から伝達された機械的な振動を電気信号に変換しています.
|

|
|
|
会話領域における鼓膜の振幅はわずか,数ナノメータにすぎませんが,ヒトは小さい音でもはっきりと認識することが出来ます.これは,蝸牛内に何らかの増幅機構が存在するためと考えられます.この増幅機構は,コルチ器に存在するOHC自身が伸縮運動を行い,その際に発生する力が基底板振動を増加させるというメカニズムにより引き起こされると考えられています.また,このOHCの伸縮運動は,細胞側壁に存在するタンパク質モータの変形により生じると推察されています. コルチ器において,増幅された基底板振動を感知し,聴神経にインパルスを発生させるという,機械-電気変換の役割を担っているのが, IHCです.IHCの先端には聴毛と呼ばれる細長い毛の束が存在します.この聴毛は,基底板が振動することによって屈曲し,聴毛先端部に存在すると言われているイオンチャンネルが開いて細胞内にイオンが流入します.その結果,IHCが脱分極してインパルスが聴神経に発生し,脳へと伝えられます.このようにして我々は音を認識することができます. |
| ・基底板振動解析 蝸牛の増幅機構の詳しいメカニズムは未だに明らかにはなっていません.そこで,本研究室では,有限要素法(FEM)を用いた基底板の挙動解析や,基底板の振動を直接計測することで,そのメカニズムの解明を試みています.また,基底板振動のどのタイミングで聴神経にインパルスを発生しているのかについても実験を行っています. ・OHCの挙動解析 OHCの細胞側壁の機械的特性やタンパク質モータの分布密度は,細胞の伸縮運動およびそれに伴い発生する力と大きく関連すると予想されています.本研究室では、モルモットから取り出したOHC単体の電気刺激に対する挙動解析や,原子間力顕微鏡によるOHC側壁の形態観察を試みています.また,シェル理論によりOHCのモデルを構築し,細胞が発生する力の解析も行っています. ・耳音響放射計測 最近の研究により,入力した音刺激に対して,内耳から逆に音が放射されていることが解り,耳音響放射(Otoacoustic emission : OAE)と呼ばれています.この音はOHCの伸縮運動によって基底板の振動が増幅するときに生じる副産物と考えることができます.聴覚に何らかの異常があると,OAEの出力レベルは減少したり、検出されなくなります.そのためOAEの計測は,他の聴力検査法で検査するのが困難な新生児の聴力検査法として期待されています. |
| | 内耳 | | Home | 中耳 | |