|
ヒトの聴覚器官は外耳・中耳・内耳から成り立っています.外耳の端は鼓膜により閉じられています.鼓膜は外耳と中耳の境界であり,その中耳側の面に耳小骨の一つであるツチ骨が付着しています.そして,ツチ骨はキヌタ骨に,さらにキヌタ骨はアブミ骨に接続しています.これら耳小骨は,空気に満たされた空間(鼓室)内に靱帯・筋腱で保持されています.鼓室は耳管により咽頭部と接続しています(耳管は通常閉じており,つばを飲み込むなどすると開きます).アブミ骨の底面は,内耳の蝸牛にはまり込んでいます.
| |
![]() |
![]() |
|
空気の粗密波である音は,外耳道を伝わり,鼓膜を振動させます.この鼓膜の振動が中耳にある耳小骨を経て,内耳の蝸牛へと伝播します.従って,中耳は,音を機械的な振動へと変換し,体内へ取り込む役割を持っています.
プールに潜っている人へ向かって大声で呼びかけても,その声は水中の人へは届きません.これは,水面でほとんどの音が反射されてしまうからです.蝸牛はリンパ液で満たされているので,もし中耳が無ければ,同様に音は蝸牛内へ届かない事になります.しかし実際には,中耳の鼓膜とアブミ骨の面積の比やてこの作用により,音は効率よく蝸牛内へと伝えられます.
|
| ・中耳振動計測 中耳の状態によって,鼓膜の振動の様子は変化します.よって,これを計測できれば,中耳病変の診断が期待できます.しかし,80 dB SPL 程度の強い音(大声での会話に相当)でも,鼓膜の振動振幅は数十nm(nm = 10-9m)でしかないため,その計測は困難です.そこで,本研究室では,スペックル干渉というレーザーの干渉現象を利用した微小振動計測装置を開発し,鼓膜の振動挙動を計測しています. さらに,中耳病変を診断する装置(中耳動特性測定装置)や,耳小骨の固着の程度を定量化するための装置(耳小骨可動性計測装置)の開発を行い,正常者や様々な疾患を持つ患者の測定を行っています. ・中耳挙動のシミュレーション 耳小骨の振動の様子は,鼓膜の振動がどのように変換・伝達されるのかを明らかにするために重要です.しかし,耳小骨は鼓膜の奥にあり,直接その振動を観測する事は困難です.そこでコンピューターシミュレーションを用いて,鼓膜と耳小骨の振動の解明を試みています. |
| | 中耳 | | Home | 内耳 | |